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ワタモテレビュー喪115 「モテないし二年目の卒業式(後編)」

6月1日(木)に、待望の私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!の喪115「モテないし二年目の卒業式(後編)」が公開されました!

 

www.ganganonline.com

 


前編からの続きとなる卒業式後編。数少ない「かまってくれた人」が居なくなるその時、もこっちは何を想うのでしょうか。

 

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今回はプレビュー画像から既に衝撃的と言っても過言ではありませんが、果たして……。

 

 

 

 

 

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卒業生代表、今江先輩の答辞から今週のワタモテはスタートします。 

 

 

 

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「私達卒業生よりもっと多くの思い出を手に入れてください それがどんなものでもかけがえのないものとなるはずです」

 


もこっちを含む後輩へと向けた言葉……
答辞の言葉としては決して珍しくもない、言わばありふれた内容かもしれません。
ですが、もこっちは壇上の今江先輩をじっと見つめます。その表情からは真剣さが垣間見えるようです。
多くの思い出」……前回の記事で述べましたが、修学旅行以降、もこっちは多くの思い出を手に入れています。
まさに今この瞬間も、もこっちにとっては忘れられない思い出になることでしょう。

 

 

そして答辞も終わり、去年は歌わなかったもこっちは、人のために歌う最後の歌を、今江先輩のために捧げます。

 

 

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「校歌は歌詞覚えてないから歌えないけどこれ(仰げば尊し)は歌うか…」

「人の為に歌うのはこれで最後だしな」

 

 

校歌を覚えていないのはもこっちらしい……というか、高校ともなると真面目に歌う生徒のほうが少なかった印象がありますし、これは珍しいことではないでしょうね。僕も中学時代と比べても合唱する機会は幾分減ったことを覚えています。

きっと、もこっちは校歌の歌詞を覚えていたら、(今江先輩のために)歌いたかったのでしょうね。

 

そして場面は卒業式後のホームルームへと移り……

 

 

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あれ?なんか先生が……良い先生っぽい気遣いをしている……?

……なるほど、これが噂に聞く劇場版補正というやつですか。正直、今回のエピソードは劇場版クオリティと言っても過言ではないぐらいの完成度の高さなので納得です。
ですが、先生もだいぶ生徒の心を汲み取ってやれないだけで、生徒を思いやろうとする意気込みはある方ですからね。

もこっちに今友達が居るのも先生のおかげな面もありますし、一概には悪く言えない人だとは思います。悪意がないのが一番質悪いんですけどね。

 

 

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「(一緒に)帰る?」と、(特に挨拶する先輩とか居ないよね?)というニュアンスを含んでいるようにも感じる田村さんの誘い。
……ですが、もこっちは踏みとどまります。前回は勇気を振り絞ることができず、教室の中への一歩を踏み込むことができませんでしたが、言いよどみながらも「挨拶しときたい人がいる」と意思を伝えます。

小さいながらも、もこっちの前進を感じさせてくれる台詞です。

 

 

ですが……

 

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今江先輩は既に大勢の生徒に囲まれていました。

 

 

「あの人だもんな いくらでも話したい人いるよな……」

 

 

あの人だから」と納得できる理由。

それは、「生徒会長に当選するぐらいの人望がある」という、客観的事実による判断だけではありません。今江先輩が人格者であることをもこっちはよく知っています。
なぜなら一人ぼっちだった頃の自分をよく気にかけてくれた、貴重な存在だからです。

 

 

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このもこっちの左手が、拳を象っているように見えます。溢れてくる何かの感情を堪えているかのようです……。

 

 

 

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ここでも、もこっちは自分を卑下します。
あれほどの人望があるのだから、自分のような少し話した程度の関係の人間よりも話したい相手がたくさんいるだろうと、自分の「挨拶したい」という感情を堪えます。

 

今までのもこっちなら、この台詞を「なんか人多いし無理、逃げたい」という意思で使っていたかもしれません。
ですがこのもこっちの表情は、それとは大きく乖離しているように見えます。

 


そんなもこっちに近づく一つの影が……

 

 

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吉田さんでした。

宝塚もびっくりの凛々しい表情……なんと言って良いのでしょうか。ヒーローです。

 

吉田さんは前回、教室の前で逃げるように立ち去るもこっちを見ています。
それに今江さんと吉田さんは以前、コンビニに入ったもこっちを待っている間に会話を交わしています。

 

 

 

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「あなたが待ってくれてるし いいかな」

「……」

 

 

 

……もこっちに吉田さんという友達が出来たことを、今江先輩はちゃんと見届けていました。
踏ん切りのつかないもこっちの胸ぐらを掴む背中を押す存在として、これ以上の適任は存在しないでしょう。

 

じゃあな
吉田さんは口下手な女の子です。もこっちを送り届ける役目を終えるとすぐに踵を返してしまいました。

 

 

 

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そして花束を友人に預けてまで、もこっちのために時間を確保する今江先輩。人格者です。

そして交わす会話は──

 

 

「あっ そのご卒業おめでとうございます」
「うん ありがとう」

 

 

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……そこで止まってしまいます。続くうまい言葉も、話題も思い浮かびません。流れるのは時間と冷や汗だけ。もこっちの右手があてもなく彷徨います。まさに手持ち無沙汰といった様子ですが……

 

 

 

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そんな沈黙を破ったのは、今江先輩の唐突とも言える自己紹介。
予想外のそれに思わず声を漏らすもこっちですが……

 

 

 

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そう、二人は名乗り合ってすらいない関係だったのです。
「直接聞けて」という台詞がミソで、今江先輩はもこっちのことを気にかけて、どこかで名前を調べたり聞いたりしたのではないでしょうか(先生が校門で「黒木おはよう!」と挨拶しているのを聞いていたかもしれませんが、他にありましたかね?)

そこで、もこっちは改まり……

 

「あ……あの 私になんかやって欲しいこととかあります?」
「ふふふ 何それ?」
「い…いや お世話になってばかりだった… ので…」

 

と、他人のために自発的に何かをしたいという直接的な言葉を口にします(泣けてくる…)。自分では思いつかないけど、与えられてばかりだったので、何かで返したいという気持ちでいっぱいなのでしょう。

 

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さて、果たして今江先輩のお願いとは何なのでしょうか?

 

 

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それは、最後にもう一回もこっちを抱きしめることでした。
「もう一回?」
その言葉にピンと来ていないもこっち。

 

 

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「ありがとう 会いに来てくれて。あの素直じゃない子にもよろしくね」
「は…はい」

 

それが今江先輩との最後の会話でした。

 

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もこっちのことを待っていたであろう、真子と田村さんと並んで帰るもこっち……ですが、浮かない顔付きです。真子はカメラ目線をするぐらい明るいのに。

 

「あの人生徒会長だった人だよね 知り合いだったんだ?」
「あっ…うん 一年の文化祭の時に…」

 

そんな真子の何気ない質問に答えたその時──

 

 

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もこっちは目を見開き、足を止めてしまいます。

 

 

もこっちの脳裏にある記憶が蘇ったからです。

 

 

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一年の文化祭……気にかけてくれる先輩に返せる言葉がないもこっち。

 

 

 

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そのまま気まずくなって逃げ出し……。

 

 

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一日目はやることもなく一人で学校をうろついて、紆余曲折の果てにゲロを吐いて学校の端っこで座り込む羽目になり……。

二日目は二日目でゆうちゃんが帰った後、一緒に周る友達も居らず、一人ぼっちで携帯をいじっている有様でした。ですが、そんなもこっちに近づく影がありました。

 

 

 

 

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一年越しに、あの時と同じ場所で自分を抱きしめた着ぐるみの正体を知ったのです。

 

 

 

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気づいた時には、「ありがとう」を言うには遅すぎて……。

 

 

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……前回、もこっちが泣いていると勘違いした加藤さんは、もこっちにハンカチを差し出しましたが、もこっちは「泣いてない」と否定し、鼻をかむためのティッシュを貰っています。
今回はそれの逆です。ティッシュを差し出した真子を引き止め、ポケットに右手を突っ込む田村さん……取り出すのは涙を拭うためのハンカチ以外にありません。

 

 

もこっちの顔を描写せず、前編の流れを利用して泣いていることを表現するこれまでの流れは、純文学的と言ってもいいでしょう。ラストのコマの美しさといい、展開といい、今回のエピソードは本当に感動してしまいました。
以前よりワタモテは台詞や直接的な描写をしない、間接的な表現がうまいな、と思っていたのですが、今回のエピソードはそれの真骨頂を見たような気がします。

 

 

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それに……本当に細かいんですよ。今回今江先輩が花束を預かってもらっている友人は、あの時今江先輩に着ぐるみを貸した友人同一人物なんです。
今江先輩が抱きしめる体勢(と、抱きしめられるもこっちの体勢)も、擬音までも一緒なんですから……。読み返して気づいた時には震えました。

 

 

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また、前編では卒業していたがっていたもこっちでしたが、今回は与えられてばかりいる状態では「卒業できる資格はどう考えてもないな」と、対比的な台詞で締めくくられています。ティッシュ⇔ハンカチの件もそうでしたが、ここまで構成を美しく対比的にするとは……谷川ニコ先生の漫画力の高さには頭が上がりません……。

 

 

もこっちもいつか、今江先輩のような与えられる側の人間になることが出来るのでしょうか。

もこっちは大きく成長しています。最後のコマの台詞を言えるほどの謙虚な人間が、一体この世に何割居るのでしょうか。今のもこっちなら、きっと……僕はそう思います。