ワタモテレビュー喪157「モテないし謹慎するってよ」
5月23日(木)に、待望の私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!の喪157「モテないし謹慎するってよ」が公開されました!
「桐島、部活やめるってよ」を意識したものであろうタイトル。
この漫画の主人公は言わずもがなもこっちこと黒木智子であり、キャラクターは増えどももこっちを中心に回っています。
しかしそんなもこっちがもし居なくなったら、もこっちを中心に取り巻く世界の歯車はどう回るのか……。
失ってから初めて気づく…というよく聞く言葉通り、今回のエピソードでは居なくなることで相対的に存在の大きさを示す回となりました。
今回のプレビュー画像はネモです!
謹慎の真っ只中のもこっちに何を思うのか…。
朝のHRで荻野先生からもこっちと吉田さんが校則違反(バイクの二人乗り)で謹慎処分になったことを告げられる一同。運悪く近隣住民に通報されてしまったとのことです。
真子の視線の先は誰も居ない吉田さんの席が…。
仲の良いペアなだけに何とも言えない感情がこみ上げます。
謹慎処分になった事を受けて、まず最初に動いたのは意外にも小宮山さんでした。
ゆうちゃんに謹慎の一報を届けようとメールを送る行動に出ますが、喪143の「だったらあいつと一緒にやったほうが」という発言からも、ゆうちゃんがもこっちに自分よりも大きな親愛を抱いていることを知っているゆえの行動です。
普段の彼女からは想像もできませんが、天使の翼が生えるに足る一面性を示す行動といえます。
一方の田村さんは最速でルールを破りつつ冷静な分析をし始め、真子がそれを止めるという構造に。田村さんの良くも悪くもマイペースな一面が出ています。
流石に謹慎がネタにならない訳もなく、清田くんグループでも話題に上がります。
謹慎に「マジハンパねぇ」という清田くんの感想ですが、やはりもこっちの事をどこかイカれているという風に思っているのでしょうか。一昔前の不良漫画のような評です。和田くんの台詞は容疑者の周辺人物に対するTVインタビューの回答のような感じです。
ただ、この受験勉強シーズンに謹慎になるという二人に対して罵倒するというニュアンスはなく、寧ろ刑務所のようにマンガ雑誌を差し入れしようと画策しています。
「普通じゃないクロ」を見るたびに嬉しそうになるネモ。
「普通じゃない」クロに感化されて三年生次の自己紹介で吹っ切れ、ネズミーランド編でも「普通じゃない」グループだからこそ付いてきただけはあります。
漫画では謹慎というのは珍しくなく、たまに見かける処遇ですが、現実生活で同級生が謹慎にあうことは中々無いと思います。
それを平然とやってのけるクロというのは、ネモの憧れるアニメの日常=現実の非日常に近い存在であるが故に憧れを抱くのも自然なことかもしれません。
一方、もこっちが居なくなったら一番ヤバそうな人ことうっちーにスポットライトが当たります。平然と3-5に移動していますし、3-5に移動していることがもはや日常として受け入れられているのが笑いを誘います。
「黒木がいない」でいいところを「黒木がいなさすぎる」という奇妙な表現をするところにも注目です。
いや、気持ちとしては分かります。毎度休み時間にクラスを覗いてももこっちを観測できないので、何度見つけようとしても見つからないから「いなさすぎる」と言っているのでしょうが、そのまま額面通り受け取れば元から大勢居るもこっちが一人も見つからないかのような表現になっています。
平然と人の下駄箱を開けるなと言いたい所ですが、もこっちの出席状況を確認する為には仕方ないことかもしれません。今のうっちーは探偵なのです。
そして(もういい この誰だかわからない女に聞こう)と見知らぬ人に対して間違ってはないものの絶妙に失礼なモノローグ。「知らない人」という表現でいいところを「誰だかわからない女」というのは、中々イカした表現です。
そしてもこっち評では以前のうっちーは「キョロ充」との事でしたが、知らない人にこの距離感で話しかけるというのはキョロ充を卒業しているような気がします。目的(黒木の安否を知る)の為になら手段を選ばないということなのでしょうが。
そして、その誰だかわからない女は親切だったので謹慎だから居ない事を教えてくれました。それを知った瞬間、主観視点で廊下を走り出すうっちー。宮崎さんとかよの横をすり抜けて、息を切らしてたどり着いたのは制度指導室。
生徒指導室の一枚の扉に愛を引き裂かれた二人。悲痛な叫びをあげ、扉の向こうの姿も見えぬもこっちに涙を流しながら思いを馳せるうっちー。
中に居るもこっちはこのうっちーの叫びが聞こえている事でしょうが何を思うのでしょうか。ある意味羞恥プレイです。
場面は3-6へ。3-6の教室が描写されたのはこれが初めてではないでしょうか。相当珍しいです。
そこで会話するのは杏奈(タレ目)と麗奈(メカクレ)。この二人の素行は…不良に属する方なのでまあ余りよろしくない事だとは思うので、吉田さんが謹慎になった事に対しては「やっぱ茉咲謹慎かー」とすんなり受け入れています。そんなに珍しい事でも無いのかもしれません。
一方のもこっちに対しては「巻きこんじまったな」と後悔するような表現が(台詞の主は杏奈)。杏奈はディズニーで麗奈と吉田さんの間を取り持つという性格の持ち主ですが、ここでも優しい一面が垣間見れます。
しかし、3-6に所属しているネームドキャラクターのはこの二人だけではありません。最近出番急上昇中の風夏さんも3-6所属。最近もこっちに翻弄されがちな彼女ですが、(ますますどんな女子かつかめない)ともやもやが募るばかりのようで、遂に行動に出ます。
もこっちのことを詮索すれば詮索するほど火傷する事に早く気がついてほしいです。
この何気ない一コマですが、ただの学食にも関わらず、加藤さんがカップを持てばそれなりの喫茶店のように見えてしまうのが凄いところです。
……しかし、どこか加藤さんの様子は普段どおりではありません。視線は何処かに焦点が合っているわけでもなく、ぼんやりと何かに思いを馳せている様子です。
……もちろんこれはもこっちが居ないからなのでしょうが、何というか……加藤さんにとってもこっちの存在はそれほどまでに大きいのですね。もこっちの就職先として加藤さんに飼われるというのもアリな気がしてきました。
そこに現れたのは風夏さん。「黒木さんって子 謹慎になったみたいね」といきなりもこっちの話題を切り出します。それに対し「……そうだね」と珍しく返答に時間を掛け、「何? それだけ?」と表情を変えず聞き返す加藤さん。それに「え!?」と驚いた様子の風夏さんですが、加藤さんとしてはもこっちの謹慎に心を痛めているのに、そんな加藤さんの気持ちを考えずズケズケとそのことを聞いてくる風夏さんに少し苛立ちを覚えているのかもしれません。
風夏さんとしては、今の加藤さんにとってもこっちがそれほどまでに大きい存在になっている事を知らない──というより想像しようもないからこその悲劇ですね。このやり取りがお互いにlose-loseになっているという…。
上のコマでも「聞き取れないからはっきり言って」とどこか威圧的ですらあります。球技大会であれほどまでに中心人物として活躍した風夏さんが加藤さんの前ではどこか下手に出てしまっているのが加藤さんの絶対上位感を滲ませるシーンです。
そして風夏さんは「黒木って子に明日香は胸をさわらせたの?」と直接聞くに至ります。が、加藤さんはそれに対して「自分が今(もこっちの謹慎を受けて)落ち込んでいる」事を暗に示しつつ、そういったセンシティブな話題は人前ではやめたほうがいいという至極真っ当な返答をします。
そうだよね。
そういう加藤さんも人目につくところでお上品に性器の名称を口にしたりしてますから…。
風夏さん、本当にこの件に関しては火傷しかしていないので早めに手を引いた方が良いと思います。
もこっちが居ない時は過ぎ去り放課後…。
帰宅する前に生徒指導室の前で足を止める二人がなんとも切ないです。しかも提案したのが田村さんというのがね…。田村さんにとって誰一人として欠けたくない四人のうち二人が扉の向こう側に居て、連絡が取れないのが表情には出ずとも辛いのでしょう。冒頭の最速ルール破りも寂しさからの行動だと思うと可愛げがあります。
今回のエピソードでとても印象的なコマ。
真子と別れて早速イヤホンを付け、一人で帰ろうとする田村さんは空を見上げます。
一週間のうち、まだ一日しか経っていない事に対する思いが滲み出ているコマです。
また、右のコマの田村さんに葉の陰が差しているのが印象的ですね。絵として美しい。画力も本当に上がっています。
オフショットゆうちゃんかわいい
そして夜。
ゆうちゃんはちゃっかりもこっちと会話していたらしく、「ちょっと疲れてそうだったけど元気だった」事を伝えます。小宮山さんからの一報を受けて心配になったゆうちゃんが連絡を入れたことが想像出来ます。
「バイクの二人乗りって言ってたけどもしかして前に言ってた不良の子?」というゆうちゃん、知らずにできていたもこっちの友達のことはやはりよく覚えていたようです。
正気か?
一方の小宮山さんは都合の悪いことは何も覚えていないというか、認識していないようです。こういう人が悪気も自覚もなく犯罪を起こすんですよね。
吹き出しに隠れていますがゆうちゃんがいつもの引いてるというか焦ってる時の汗を出しているのにも注目です。
そして何より、この三人の勉強会が続いていることが嬉しいです。
一方の南さん、うっちーに手酷くディスられたことが結構ショックだったのか保護者である真子に慰めに貰いに行きます。
「普通の顔した奴」と南さんはうっちーを表現しますが、絵文字だったりシリアス美少女だったり表情の変遷が忙しいうっちーの顔はこの世界では普通なんでしょうか。
一方の真子はうっちーにも南さんにもお互いにフォローを入れるという多忙ぶりを見せます。
岡田△。
最近は下ネタに呆然としてしまうという可愛らしい一面からギャグ要因的扱いが目立つ岡田さんでしたが、吉田さんがずっと謹慎なら…という戯言を吉田さんの席に座って宣う南さんに座るだけで圧倒します。
というより、南さんにとっては岡田さんは擦り寄りに失敗し怒らせてしまった存在。気まずすぎるにも程が有るのでしょう。
圧倒された南さんといえば、汗を流しながら「まっこちじゃあねーー」と席に戻ります。恐らくは誤字なのでしょうが、「まっこち」と噛んでしまうぐらい焦っているという風にも取れるので面白いですよね。
そんな南さんを(もう別になんとも思ってないからビビんなくてもなー まあ相変わらずウザいけど)と評する岡田さん。興味すら沸かないというか、どこまでも格下なのだなあと思わされるモノローグです…。
そして何気ないこのやり取りが好きですね。
二人が居ないことに対して岡田さんの「見晴らしが良すぎる」という表現がなんとも素敵です。二人が居ない事に寂しさを感じたりするのでしょうが、それを滲ませない。
いつも埋まっているはずの二人の席が空いているのは大変目立つことでしょうが、それをこのように表現するのは素敵だなって思います。
!?
……すいません、右のコマの田村さんが美人すぎてたまげました。何気ないコマのハズなんですが。
中庭で一人ご飯を食べる平沢さんの元に現れた田村さん。
偶然中庭に訪れた可能性もあるのでしょうが、ひょっとしたらもこっちが来ないことに気づかず弁当を食べている平沢さんを気にかけて訪れた可能性もありそうです。(一度は通り過ぎようとしている描写があるので、恐らくは偶然の方なのでしょうが…。)
やはり親しくない人に話しかけるのは少し勇気というか間が要るのか、一時は平沢さんの横を通り過ぎようとする田村さん。ですが「……ねぇ」と振り返って声を掛けます。このまま待ち惚けさせる訳にはいかないと思ったのでしょう、優しいですよ田村さん。
しかし、平沢さんはもこっちから連絡を受けており、連絡先を交換していたのに驚く田村さん。
ところで平沢さん、誰かと食べようと思えば男子と食べたり、教室で一人で食べることも出来たはずですが、この中庭でぽつんと一人食べている理由は…。
約束していたから。
……なんと健気なんでしょうか。グッと来る台詞です。相手が来なくても約束の場所で待っているのは素敵だなと思わされますね。青空の下「早く謹慎解けるといいですね」「……そうだね」という二人のやり取りが交わされます。
そして放課後。委員会で残る真子より先に帰宅することになった田村さんが向かったのは、やはり生徒指導室。意味は無くとも、寂しさから足をつい運んでしまう田村さん。
そんな田村さんの元に……。
目を見開いて驚く田村さん。
この呼び方をするのは、まさか……
ネモでした。
「……………」の三点リーダーの長さからも一瞬田村さんが期待してしまったことが察されます。そして悪びれることなく一緒の帰宅を提案するネモ。
こういうやり取り、ネモと田村さんらしいなあって思わされます。
「こんな時期に謹慎することがバカらしいこと」「もこっち(と吉田さん)の居ない一週間が長いこと」
……どうやら二人が考えている事は同じようです。それを「おっ 田村さんと気が合った クロに関しては合うのかな?」と驚いた様子のネモ。
ネズミーの時も味をしめて同じ三牛士キーホルダーを買っていたことをバカと評する時は二人の意見は一致していました。
ネモと田村さんと言えば、険悪そうで実はそうでもない関係です。
お互いに優位性を主張しあうような面もあれば…。
二人を蔑ろにするもこっちを通じて逆に距離が縮まったりなど…。
しかし田村さんとネモの間には、必ずもこっちという存在が介在していて、それを中心に二人の会話が生じているのは確かなわけで。
二人がもこっちが居ないことを「寂しい」と思うのは当然のことですから、同じ事を思うのもそれはまた必然なのでしょう。
今回はもこっちの姿が一度も登場しないという例を見ない回でしたが、そのことで逆に今のもこっちの存在の大きさが示された回でしたね。
前回告知しましたとおり、更新を早める目処が付きました。喪158のレビュー投稿は6/21(金)を予定しております。喪159につきましては数日以内に投稿できればと思っています、どうかお待ち下さい。