ワタモテレビュー喪137「モテないしGWを迎える」
7月5日(木)に、待望の私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!の喪137「モテないしGWを迎える」が公開されました!
更新が大幅に遅れてしまいました。お待ちくださっていた方々には本当に申し訳ありませんでした。
年度が変わった頃から仕事の形態が大きく変わってしまい──特にここ数週間はひどく、その影響でレビューに充てられる自由な時間が大幅が減ってしまいました。
ですが、なんとか更新の方は続けていくつもりですので、どうかお付き合い頂ければと思います。
さて。遂に、というべきでしょうか。わたモテワールドもGW編に突入です。
激動、激動と言い過ぎて原型が留まっているのかわからないぐらいにもこっちを取り巻く人間関係は変化を重ねてきました。
となると、この長期休暇、何もイベントが起きないはずもなく……。
今回のプレビュー画像は加藤さんともこっちです!
……!? 加藤さんから直々のお誘いっ……!?
早速の扉絵。全校集会で並ぶのは出席番号順に岡田さん、加藤さん、もこっち、そして小宮山さん、見切れる形で真子ですね。(男子の列には清田くんと鈴木くんの姿が。)
「全校集会中でも考えることは……」というアオリ文。
恐らく全校生徒の中で唯一ロッテの2軍選手のことを考えているコオロギは置いておくとしても、大体の生徒は恐らく「これから先の連休何をするか」ということを考えているでしょうね。
そしてもこっちもその例外ではなく、「明日から連休に入る」と告げる教員を見上げながらGWの予定に思いを馳せます。
とはいっても、すでに受験を控えた三年生というシーズン。連休中に羽根を伸ばして遊び倒す、なんて事ができるわけもありません。
(優ちゃんとコオロギとで勉強会する用事しかない)と、ゆうちゃんの久々の本格的な出番に期待が持てそうな展開だったのですが、なんとそこで加藤さんからプレビュー画像の「この後暇?」という問いかけが生じます。
目を丸くして驚くもこっちですが……。
加藤さんと目が合った状態で二人で話すという状況で、どもりながらも声が震えないもこっち。以前なら間違いなく動揺して声が震えていたでしょうに、これも大きな変化ですよね。
そして加藤さんの方からもこっちに「誘う」という好意的なアクションを掛けるようになったというのも大きな変化です。(電車内での膝枕もそうでしたが)
誰にでも優しい加藤さんですが、この時点で既にもこっちに対しては普通のクラスメイトよりも強い好感を抱いていることが分かります。
そこに清田くんが声を掛けますが、「今回は女子だけだから」「茜には聞いてねーし」「うぜ」という仲の良さを伺わせるやり取りを挟みます。
──が、本来であれば清田くんもグループ人数的に入るべき流れなのでしょうが、今回はそこにもこっちが居るという以前からは考えられないグループ構成です。
そして「田村さんとか他の人にも声かけていいから」と気を遣われ、田村さんに声を掛けに行くもこっち。
「嫌ならいい」と言うもこっちに対し「嫌じゃないけど……」と三点リーダー多めな田村さん。
田村さんは「私行かなかったら黒木さん行かないの?」と問います。
これはつまり、田村さんは「もこっちが私に声を掛けたのは一人だと心細いからだ」という、2年生末の焼肉回に赴く時の心境に近いと解釈しているのかもしれません。
つまり、田村さんはもこっちの事を慮っているのです。
ですが、田村さん一人で付き合うというのも心細い話です。「真子と吉田さんを誘ってみる」と、いつものメンバーで行くことを画策します、が……。
拠り所に困っている南さんを放っておけない真子は、打ち上げのときの埋め合わせとして放課後付き合うことを約束していたのでした。
クラス替えを発端として南さんとサチ・ノリ・マキの間には溝が空きましたが、南さんとて孤独にならないように必死──心に引っかかりを覚えつつも、頼らざるを得ないという状況から逃れられないようです。
南さんを嫌っている田村さんですが、真子が南さんに手を差し伸べる事を妨げることはしません。(喪129では、寧ろ真子の気持ちを尊重して背中を押すといったことまでしています)
「じゃあいい 吉田さんに声かける」と切り替えようとする田村さんですが、吉田さんも今日は用事があることを真子から伝えられます。しかもその上──
「大丈夫?一人で行ける?」と、おつかいに出かける子供を心配する母親のようなセリフを言う真子。一見煽りにも聞こえなくはないですし、「バカにしてるの?」という田村さんの発言もご尤もなのですが、田村さんに一人でリア充の群れに飛び込むコミュ力がないことは真子が一番よく知っているので煽りでもなんでもないのが面白いです。
実際、真子の「ゆり みんなと話したりするの苦手でしょ」というドストレートな正論には田村さんもぐうの音も出ていませんからね……。ただ、結構普段は気圧されだったり受け身な真子がこうズバッと言ってくれるのは、少し嬉しいといっては変かもしれませんが、良い一面が見れたなという気分になりました。
もこっちが誘いをかけてきたこと、そして「あまり乗り気じゃない」という発言も受けてか勇気を振り絞ろうとする田村さん。
真子にそう言われて意地になったというのもあるかもしれませんが、「皆と話したりするのが自分と同じく苦手」なもこっちを助けようという優しい気持ちが根底にあるのは間違いないでしょう(頼られている、とすら思っているかもしれない)。
……のですが。
対面のネモとは親しげに軽口を叩きあい……
果てには加藤さんに肩を寄せられながら注文した料理を分け合おうとイチャイチャする始末。
手出そう…!
「あまり乗り気じゃない」と言っておきながらのこのハーレム満喫っぷりに田村さんの握撃が発動しかけます。
ですが、抑えているだけひょっとしたら成長しているのかもしれません。(遊園地編の時の精神状態なら発動していそう)
……と、物騒な考えが脳裏に巡った田村さんですが、(乗り気じゃないって言ったくせに…)と視線を逸し、不満げに両手で頬杖をつきます。
いやはや……ここの田村さん、乙女全開で可愛すぎませんか??
乙女心の分からない主人公に拗ねてしまっているヒロインなんですよね、ここのモノローグもポーズも。何もかもが良いですよね。
……と、そんな田村さんに声を掛けるのは岡田さんでした。
岡田さんが田村さんにメニューを聞いたのは、吉田さんがもこっちを吊し上げている時に田村さんに対して悪く言ってしまったことへの謝罪がしたかったから(会話を始める口実として)のようです。いきなり声をかけて謝罪の話題から入るのではなく、自然な話題を出して会話を始めてから本当に言いたいことを伝える……というのが流れとしてリアルですよね。
そして岡田さん、本当に謝れるタイプの人というか、何事もなあなあで済ますのが嫌いなタイプなのでしょう。
吉田さんにも直後謝罪していましたし、もこっちにも遊園地の一件で謝罪していましたし……本当に律儀で良い子だと思います。
そしてこの会話のオチ。
「そうだね…」と、田村さんがもこっちが変な奴であることを否定しないのが良いと思います。変な奴と分かった上で付き合っているのが良いんですよね。
そして注文した厚めのパンケーキが届き、それを切り分ける加藤さん。
相変わらずデレデレになるもこっち、(クラスメイトの前でお母さんの世話になってるみたいな照れがある)と田村さんの表情を伺ったりもしますが、田村さんは加藤さんを見つめながらの無表情。
カフェオレだけ注文して何もスイーツを頼まなかった田村さんに加藤さんが気を遣って「一口食べてみる?」と声をかけますが、「あっ だ 大丈夫」とぎこちない返事の田村さん。やはり普段話さない人とは「あっ」の間を置いてしまうようです。(すごいわかる)
そして対面を向いてみればネモと岡田さんが注文したメニューについて何気ない会話をしています。
……女子高生同士の、放課後の喫茶店での何気ない会話。
ですが、それは通常陰キャと呼ばれるオタクにはあまりにも手の届かない世界です。
そんな「何気ない日常」の中に今居るもこっちは、遂にあることを自覚します。
──そう。
今の自分がリア充であるということの自覚を抱きます。
……というより、リア充を超越してハーレムを築いている状態なんですけども、「いや いまだに男関係は何もないが」と、そういう目線で見ていないからこそそういった方向性での自覚は全く抱いていないことが分かります。
男女間のラブコメで主人公が致命的に(それこそ不自然なまでに)鈍いというのはよくありがちですが、それは単純に「主人公が鈍感だから」という理由が殆どです。ですがこの同性間のパターンだと、もこっちが(現状、うっちー以外は恋愛感情とは違うと思いますが)強烈な自分に向けられた好意的な感情に対して鈍いことに説得力がありますよね。
さて、そんな感慨に浸るもこっちですが、GWに何をするのかネモに問われ、話題がもこっちの志望校へと発展していきます。
もこっちは「まだ完全に決めてないけど」と少し笑みを浮かべながら、
青学。
ちょうどいま自分がリア充であるということを自覚したばかりで、その流れを受けて冗談めかして言ったのでしょう。
青学といえば華やかなイメージで、リア充が多いイメージが世間でもあることかと思います。
いくら今の状況がリア充的と言っても、もこっちの根は「陰キャ」「オタク」であり、自分を華やかに着飾るおしゃれもまだ覚えていないのです。
だからこそ田村さんは「ふっ!」と鼻で笑い、ネモはそれは冗談(ボケ)だと分かって大笑い(ツッコミ)します。
「似合わなすぎる」「クロのイメージと真逆」と強いツッコミを受けても、「あえてね」と笑みを浮かべるもこっちの反応からも「ツッコミ待ち」だった事が分かりますが……。
クリロナ降臨。
もこっちが青学を目指すと言った時、「私も同じ…!」と顔を綻ばせた加藤さん。
一緒の志望大学である事を嬉しいと思えるほどの素晴らしい人間だと思っているからこその発言であり、だからこそネモの「似合わなすぎる」という発言を咎めるように見つめます。
加藤さんは根っからの善人である上にもこっちが素を見せている瞬間に出くわさない(もこっちが幻滅されたくないと思っている程の相手だから)ため、岡田さんの言うように「買いかぶってる」状態なのです(勿論、もこっちにも人間として素晴らしい面は多々あります)。
よって、加藤さんとその他のメンバーの間で温度差が生じてしまい、このままでは「(私の素性を知っているからこその発言をした)ネモが気の毒」というわけで「私も冗談で言っただけ」とフォローを入れるのですが……。
クリロナは眩しすぎました。
……確かに長期化していたネモと岡田さんの軋轢を、魔法を使ったんじゃないかというぐらいにあっさりと解消させたんですよね。
加藤さんは岡田さんとネモが仲直りした直後「茜と何を話したのか」とちゃんと聞いていましたが、「エロゲーの音声と画面を見せた」なんて正直に言って幻滅されるのは嫌なので「大したことでは……」と謙遜した風にして答えなかったことが「買い被り」を加速させてしまったのですよね。
……加藤さんがとても純粋な子とはいえ、大体もこっちのせいですね?
そして加藤さんからGWに青学のオープンキャンパスに行かないかと誘われ、恍惚とした表情で「一緒にイク」などとのたまうもこっち。簡単に他の女とイってしまうもこっちに対し、隣の田村さんもショックを隠しきれません。
それはネモも同じなのか、「クロは青学って感じじゃないよ」「行っても無駄」と強く引き留めようとします。
先程は「もこっちがボケたからツッコミを入れた」形ですが、今回もこっちはボケていません。なのにネモが食いついたのは、「加藤さん(他の女)と(自分の志望校でもない)オープンキャンパスに行って欲しくない」という気持ちがあったからだと思います(この後自分の志望校のオープンキャンパスに一緒に行く約束を取り付ける辺り、もこっちと同じ大学に行きたい気持ちがあり、「加藤さんに奪われるのが嫌だ」という気持ちを持っている事が推察されます)。
でも「行かないで」なんて事を正直に言えるはずのない性格のネモは、「行っても無駄」という素直じゃない表現で引き止めようとするんですね。
するとその素直じゃない表現が、もこっちを高く評価する加藤さんの気に触ってしまいます。
「黒木さんのことそんなに知ってるの?(あなたが黒木さんの何を知ってるって言うの?)」
「一年の時から見てるから(あなたよりはクロのこと知ってるんだ)」
……という風にも解釈できるこのやり取り。表現されてないだけで、二人の間には火花がバチバチ飛んでますよ。
喪135のラストでは加藤さんを無表情にさせた南さんの一連のやり取りを見て汗ダラダラで、先程もタジタジな様子を見せていたネモでしたが、この短い間に加藤さんと相対する覚悟が決まったのか、クリロナ状態の加藤さんの質問を受けても笑顔で応対するようになっています。
……そしてここでサラッとですが、ネモは干渉しなかっただけで一年生の頃からもこっちを見続けていた事が名言されました。キテル……
そしてサラッと自分の志望校のオープンキャンパスに誘いを入れる強かなネモ。
もこっちはそれを「まぁいいけど……」と受け入れますが、いよいよ旦那の浮気性に耐えきれなくなった田村さんがわたモテの危険地帯こと女子トイレに連れ出し、鈍感ですぐに約束を忘れてしまうだらしないハーレム主人公に過去の発言を思い出させようとします。
どうやら田村さん曰く、「私と同じ大学に行く」ということをもこっちは言ったようです。心当たりのないもこっちは首をかしげるばかりなのですが……。
ここで2年生の冬頃の回想へと入ります。(格好が厚着)
真子ともこっちと田村さんの3人で並んで帰るいつもの帰り道。
「黒木さんってもう志望校決めたの?」
そう問いかける田村さんですが、具体的に決めていないもこっちは一瞬思案して、「けれども行きたい所はあるけど」「家から近くでそんなに勉強しないで入れる所」と返します。なんとももこっちらしい選択ですが……。
そのもこっちの言葉に対して田村さんが「……私も同じかも」と返します。
「ね 言ったでしょ 同じ大学行くって」
頑張っても「言った」と解釈できるのは田村さんの方なのですが、どうやら田村さんの中ではこのやり取りは約束と解釈されたようです……というより、ネモと加藤さんだけに独占されるわけにはいかないという強い思いから出た発言だとは思います。
……それにしても、田村さんが元々「家から近くでそんなに勉強しないで入れる所」を望んでいたのか、それとももこっちがそう言ったので合わせたのか。三点リーダーが田村さんの思考時間を示しているのであれば、ひょっとしたら後者なのかもしれません。
田村さんの大学志望の動機が「大切な友達が居るかどうか」で左右されているとするなら、田村さんの中でもこっちの存在がそれほどまでに大きくなっているのだなと改めて認識させられますよね。ゆりもこォ……
……とはいえ、進路はもうちょっと慎重に決めてほしいですけどね!(お互いに)
一度「こうだったでしょ」と言った田村さんを説得するのは骨が折れそうですし、友人なのですから一緒にオープンキャンパスに行くことはもこっちにとっても吝かではないでしょう。
目を逸らし気味に「一緒に近くの適当な大学見たりする?」と問いかけるもこっちに、「…うん」と返す田村さん。
短めの三点リーダーには何処と無く満足したようなニュアンスを感じます(かわいい)。
……が、すぐに「ちょっと付き合って欲しい所あるし」と続き……。
あっ……。
完全に目から光を失った田村さん。何故トイレに呼びだしたのかも察せられない、この乙女心の分からないラブコメ主人公に対してこう返すのは当然と言えるでしょう。
というかネモといい田村さんといい、ワタモテのヒロインは目から光が消えがちですよね。
(とはいえ、私的には目から光が消えてる時の二人はとても可愛いのですが……)
そして改めてカレンダーを見直すもこっち。
28日は「大学見学田村さん」。
29日は「ネモ」。
30日は「加藤さん」。
やはり注目すべきは28日の田村さんの文字サイズですよね。
「大学見学」と書いたためスペースが足りなくなった、というのも十分に考えられますが、やはり「田村さん」という呼び方にもこっち自身しっくり来ていない、どう呼んで良いのか迷っていることが大きな原因でしょうね。
こういった描写が本当に細かい漫画だな、と実感させられます。
喪124で「今さら田村さんって呼ぶのもな…」としっくり来ていない様子が描写されている
さて、一瞬でGWの予定が半分埋まったカレンダーを見つめながら、もこっちは改めて自分がリア充であることを実感します。
……が。
普通のリア充の体験する面倒臭さとは少し違った瘴気が漂っているような気がしますが……どうしてギスギスして空気が悪くなったのかは全く見当がつかないようです。
それにしても、加藤さんは睨むという事は一切しませんが、微笑みを湛えながらもじっと見つめるんですよね(強キャラオーラが半端ない)。もちろん相手はもこっちの事を悪く言うネモに対してですが。
……それにしても、このような対立関係(?)が描写されるのは驚きというか。これまで加藤さんは田村さん─ネモ─うっちーの三すくみとはまた別の次元に居た印象があったのですが、今回のエピソードでその次元に降り立ったような印象を受けますよね。言い方は変かもしれませんが、誰にも優しい加藤さんがもこっちに対して特別な何かを注ぐようになったというか。やはり、ネモと岡田さんを仲直りさせたのが相当響いたということなのでしょうか。
百合方面を期待する読者にとってはこの展開はどうなのでしょう、かなり熱いのではないかと思うのですが。
そして(田村さんの顔)に断れたのでネモに加藤さんと出かける服を選ぶ話を持ちかけますが、これもまた断られ、自分はやっぱりリア充になっていないのではないかと疑問を抱くところが今回のエピソードのオチとなりました。
途中から「自分はリア充なのでは?」と何度ももこっちが思っていたのはこのオチの為でしょうね。
実際にはリア充だからこそ断られているというのがなんとも面白いのですが……。
田村さんやネモにとって、もこっちと一緒に服を選ぶのはデートな訳ですが、他の女のアシストになるような事はしたくないという思いの方が先行するんでしょうね。乙女だ……。
……さて、波乱の予兆をビンビンに感じられるGW編がついに幕を上げることになりそうです。
先程も言いましたが、加藤さんが本格的にこのもこっち競争に参戦、名乗りを上げるような描写があったことに驚きを隠せません。
また、今回のエピソードからは普段よりも百合っぽい雰囲気を強く感じました。とはいえ、ちゃんとギャグを入れて落とし込むのが流石といったところですよね!
……さて、次回の更新は7/19。
レビューするペースが遅れている現状、心苦しいのですが、可能な限り早く仕上げるよう尽力いたします。
次回もよろしくお願いいたします。